実は…、と神崎くんは一言置いて右手を握りしめ何かを決意したような表情になる。


こんな状況でも、ふとした表情にいちいちキュンきてしまう。




「…入学式の時から、ショートカットの凛とした可愛い子がいるなぁって思ってたんだ。
翔とは中学からの友達で、その子と同じクラスだったから名前を聞いた。だから知ってたんだよ。

それからも、何度か近づこうと思ったけど…勇気が出せずに話しかけられなかった。情けない男だよね。
今…こうやって話しているのも実はすごく嬉しいんだ。」

と言い終わって、神崎くんは照れて俯いてしまった。





私のこと…そんなに気にかけてくれてたんだ。
何も知らなかった…。




神崎くんの一つ一つの言葉が莉乃の胸を高鳴らす。





そして神崎くんは顔を上げ、莉乃の瞳を真っ直ぐに見つめた。


その瞳は私の心まで覗かれているのではないか不安になるくらい、深く鋭く。