お昼休み。
私は莉乃と人気のない屋上へ向かった。
風が強く吹き、爽やかな自然の香りを体全体で感じる。
久しぶりの屋上に2人の気分は上がり、きゃっきゃと騒いだ。
そして十分騒ぐと2人の影に気づいた。
上を見上げてから、ハッとする。
屋上は二段階になっていて、広いスペースとその上に小さな隠れ場所的なところがある。
そこに優しく寄り添うように、錆びたハシゴがもたれ掛かっていた。
その先には白倉くんと神崎くんがいた。
ニタニタしながら「随分楽しそうだね、お2人さん。」と白倉くんが笑っている。
莉乃はムッとした顔で
「そっちこそ何やってるのよ!男2人でコソコソして気味が悪い。」
と言い返した。
気が強くて正義感のある莉乃らしい発言だ。
敵意剥き出しだ。
「ごめんね。邪魔するつもりはなかったんだけど…。」
と、神崎くんが申し訳なさそうに下を向く。
莉乃はそれを見て、あれ誰?という顔をする。
すると神崎くんは察したのか、
「あ、僕は10組の神崎直弥。莉乃ちゃんだよね?」
とスマートに自己紹介をした。
「え、初めて会ったのに何で名前を知ってるの?」と莉乃が聞くと、神崎くんは爽やかなかっこいい笑顔で、
「可愛いから覚えた。」
とさらっと言った。
太陽の逆光でよりいっそう王子様のように見えてくる。
光り輝くオーラを放ち、周りを華やかにする優しい、しかし男らしくもある。
うわぁ!こりゃモテそうだわー。
とオバサンみたいに私が思っていると、
莉乃が顔を真っ赤にして
「そっ…そうなんだ!宜しくね!」
と照れながら言った。
こんな莉乃は見た事ない。