それから私達は、歩いて行けるゲームセンターに向かった。
ゲームセンターは大勢でも楽しめるし、お金もそんなにかからないから学生にはピッタリだと思う。
我ながらナイスな提案だった。
自動ドアが開くと、そこには色とりどりのゲームや、お菓子など様々な娯楽があった。
皆の心が、その瞬間ワクワク踊った。
「私、クレームゲームやりたい!!」
真っ先に飛びついたのは歩花ちゃん。
ピンク色のキュートなクマさんのキーホルダーに無我夢中だった。
他の2人はというとほらね、というように呆れている。
少年の心は忘れたみたい。
可愛くない!
私は歩花ちゃんがキーホルダーを取るのをじっと見ていた。
軽快な音楽が流れて、歩花ちゃんのボタンを押す動きに合わせクレーンが動く。
「いけっ!」
祈るように目を閉じてお願いする歩花ちゃん。
頑張れー、と心の中で応援する。
ところがゴトン、という音は聞こえない。
「あー、残念だったね。惜しかった。」
宥めるように言うが、しょぼんと項垂れてしまった。
その後も何回かチャレンジしたが無惨な結果に終わった。