私は自動販売機の前で迷っていた。
周りから見れば完全に不審者かもしれない。

かれこれ30分の時が経過している。

私がこうしているのは、白倉くんにジュースを奢るという約束を交わしたためである。


今月は金欠で財布の中身は1000円にも満たないのだけれど、仕方ない。
約束は約束だもん。バイトでもすればいいや。

「えいっ!」
潔く、"つめた〜い"と書かれた青いボタンを押した。
カラン…と落ちたボトルは文字通りひんやりと冷たかった。


パッケージからは夏の涼しさが連想される甘酸っぱい炭酸水を買った。
悩みに悩んだけど、結論炭酸が嫌いな男子はいないだろう、ってことで!

喜んでくれると良いなあ。
私の足取りは軽く、白倉くんがいるであろう自分の教室の1年6組へ向かった。