幻ー消えない追憶ー


「はぁ…、やっと終わったー。」
莉乃が大きなため息をつく。
2人で何気ない会話をしながら下駄箱に向かった。


…あ、日向だ。

下駄箱の裏に隠れるようにして、二人は立っていた。
何故か人形みたいに可愛いくて、小さい二つ結びの女の子と一緒にいる。
背丈が似合う。


どうしてだろう。
少し複雑な気分。

高校生なのだから日向にも彼女が出来て当たり前。
分かっているけど…。

意志とは反対に胸が苦しい。
私の知らない面が次々と出てくることが悲しくて仕方ない。

「ひっ…日向!!」
女の子と喋っていた身体が私の方へ向く。
「何だよ、またお前か。」

"またお前か。"って酷いな…。
彼女さんとのいちゃラブな時間を邪魔して悪かったね!
「いい加減にお前って呼ぶの辞めてよ!ちゃんと陽菜っていう名前があるんだから。」


ぷーっと膨れる私に


「陽菜」なんていきなり呼ぶから不覚にもドキッとしてしまった。
自分で呼べって言っておきながらも、恥ずかしくなってくる。

昔の日向ならともかく、今の日向にときめくなんて!!!!




「なッ、、何か?」
そう言う私を見て、日向は呆れたようにため息をついた。
「何じゃねえよ。授業中ずっと俺のこと見てただろ。気持ち悪い。」

あ、そうだ!そのことで話があるんだった。
「あれは誤解で、日向を見てたんじゃないの!私はサッカーを見てたの!!」
嘘だけど…。
本当はずっと日向を見ていた。
でも気持ち悪いって、やっぱり意地悪!

「ふーん、なら良いけど。」
じーっと真っ直ぐ私を見てくる。
どうしよう、心臓の音がうるさいよ。

「じゃ、じゃあまたね!2人の邪魔しちゃってごめんね!」
そう言って莉乃を引っ張った。

日向のことが好きってバレてしまいそうで怖かった。
可愛い彼女がいたのに…。
無理にでも好きじゃないって思わないと。



この恋は終わらせるんだ。