「つまりは、俺の弟。双子なんだよ、アイツは。お前が知ってる日向は過去に病院に通院していて、元々持病を持っていたの。そんな辛い姿も見せず、学校に通ってたアイツは偉いよ。
何度もそんな姿見るの嫌だし、別に離れて暮らしてたけど。」
私が見ていた日向はそんなのじゃなく、
辛い所など何一つ見せてなかった。
あ、そういえば体育いつも見学してたような。
表情に隠れていた本当の姿に残酷さを感じ、ゾッとした。
本当に実際辛いのに我慢してたんだね。
それに気付かず私は…。
話を聞いて、無意識に手足が震える。
手先から冷たく麻痺するようだった。
とてつもなく動揺を隠しきれず、花宮さんをチラ見すると
しゃくり上げて号泣している。
それでも冷静に、
「あのさ、日向って名前は名字なんだ。
それで名前は玲裁って言うんだ。」
と彼は言う。
理解しきれず、長めに間を置いた。
待って、私の恋心置いてけぼれ…
違うの、私の今昔物語が…っ!
なんで私、こんなに黙ってるの!?
言いたい事いっぱいあるじゃん!!!!
「…弟さんの名前は?」
そう、
聞きたかったの。ずっと───。
その名を。