幻ー消えない追憶ー

おそらく私が言ったことは少しも伝わらなかったと思う。
きっと誤解している。
次に会うときは誤解だってちゃんと言わなきゃ。

「…まぐち」
でもどこのクラスなんだろう?
高校に入学してから今まで見たことなかったもんなあ。

「山口!!」
びくっ

前を振り向くと、そこには先生が厳しい表情で立っていた。
「はっ…はい。」
「どうした、早く読みなさい。」
…やばい、全然聞いてなかった。
どうしよう!
「あのっ…そのー」
何人かのクスクス笑っている声が聞こえてくる。
「なんだ。聞いていなかったのか?」


はい、と観念して正直に言おうとした瞬間、隣の方からぼそりと「12ページの5行目…」という声が聞こえてきた。

パッと横を見ると、肘をついて黒板を見ている白倉くんがいた。


きっと優しいから教えてくれたんだ。
後でお礼を言おう。