──時刻は11時。
海里ちゃんは、日向に会えなくて目が死んでいる。
でもしょうがないよね。



私はシフトを切り上げ、遠くからやって来た莉乃にバトンタッチした。




「デート楽しかった。ふふ♡またね〜!」
と、彼氏に手を振り目の前で見せつけやがって。

むむむ。


「楽しそうで良いね…。でさ、悪いんだけど早めに着替えてくれない?お客さん待ってるからさ。」
と羨ましくて口調がつい強くなってしまう。


「分かってる。分かってる。
それより陽菜、お疲れ様!6組の受付が本格的って巷で話題になってるよ!!」

と莉乃は私の話しているのを遮って興奮気味に言った。



何だそりゃ。
アトラクションスタッフさんの真似をしたおかげかな。

取り敢えず、説明やったかいがあったって事なの…?




あのやっつけ努力は無駄じゃなかった…。