タカヤを歌舞伎町のゴミ箱の間から拾ったのは、半年前だ。
さんざん殴られた後らしく、あちこちから血が流れ、片目はひどく腫れていた。


もともと、慈悲深いたちではない。


拾う気になったのは、たまたま前日に万馬券が当たって、気が大きくなったせいだろう。
アルコールも、頭の芯がにじむくらい残っていた。
ちょうど、使い捨ての売人のチンピラが、ひとり欲しかったところでもあった。



「おーい、死んでんのか?」



言いながら、白いエナメルの先のとがった靴で、軽く蹴飛ばす。
ボロ雑巾のように汚れた塊が、呻いた。