「ですが、タカヤが入院するように、説得してみますよ」


沼田は、笑顔を作って、萩に言った。


逆らわないほうがいい人種がいる。

萩が言ったことは、沼田がコカインの売人の元締めだと知っている、という意味だ。
協力しなければ、通報されるかもしれない。
だからこれは、保身のためにタカヤを売るようなものだ。

タカヤのためじゃない。


自分にそう言い聞かせている時点で、理由が違うことを沼田は嫌でも自覚する。


助かるなら、タカヤを助けてやりたい。