「でも私、その約束、叶えられなかった。」

「それは、私が悪いんだよ。」


ふふっと切なそうに笑うミウ。









「私が、病気に負けちゃったから。」











そう。
ミウは、私達が出会って一年が経とうとしたその日、………………病気による発作が起きて、亡くなったんだ。











「2つ目の約束を守れなかったのは私。それなのに、ユメ、ずっと泣いてるんだもん。」


ミウが死んだショックは、私には大きすぎたんだ。
あの頃の私は、ミウがすべてだった。



「ユメ。この前ね、ユメのママが屋上に来たの。」

「お母さんが…?」

「『ユメを助けて』って、泣いてたよ。」




すっと、ミウが私のほうへ歩く。




「ユメ。私は確かに死んじゃったけど、あの約束はユメの中で生きてるでしょう?」

「あの…約束…?」









「雨が降ったら、会おう。」










「約束、覚えてる?」


「お、覚えてるよ…、でもっ」


「私はいつだって待ってるよ。」


「え…?」




俯いていた顔を上げると、夕日の光がミウに透けていた。



「ミウっ…!!」


「あ……、もう、時間みたいだね…。」


「やだ、いかないでっ…」


「ユメ。」



ふわっと、ミウが優しく抱き締める。



「ねぇ、ユメ。笑って?」


「え…?」


「笑って?」



ミウが泣きそうな顔で笑うから、私もつられて笑った。
でも涙はボロボロ出てきて。



「やっと…笑った…。」




また私をぎゅうっと抱きしめて。




「ユメ。私のこと、忘れないで。
夢、叶えて。
私みたいに苦しむ人達を救って。」


「でもっ…」


「ユメならできるよ。だって…、










私の親友だもん。」









ふわっと笑って、









「ユメ、約束忘れないで…。」









「忘れないよっ!絶対忘れない!!」









もう、ミウが見えなくなってしまう。









「ユメ。私ね、ユメの笑顔、大好きなんだぁ……っ。








だから、笑って…?」









自分で最高だと思う笑顔を作る。

ミウ。
ミウ。
ミウっ…









「ありがとう…。




さよなら。」