そんなこんなで、その日はぐったりとして家に帰った。

本当のところ、技術テストで下手くそなフリをしておけば採用されないだろうと思っていた。

だが、自分のダサい髪型から技術を評価されるとは....。

それに、働きたくないと言っている人を雇うのもどうかしていると思う。

店長とjoyfulは苦手だと、実感した。

僕は、よく晩御飯を祖母と祖父と妹と食べる事が多い。

僕の母はメイクアップアーティストでそこそこ人気があり毎日忙しく働いている。

父は、祖父の店の二代目店長としてヘアカットを夜遅くまでしている。

父の腕前は祖父と互角にいい。

でも、最近父は祖父の身体を気遣って、祖父には6時には上がってもらっている。

この日も、いつものように4人でご飯を食べている。

祖母「こうちゃん、どうしたの?今日はあんまり食べないのね」心配そうに尋ねてきた。

僕 「ちょっと疲れてるんだ」

僕は、食欲がなかった。

祖父「どうだったjoyfulは?」

祖父が尋ねた。

僕 「採用されたよ」

僕はため息をついた。

祖父「そらそうだ」

祖父は、はっはっはと笑った

僕 「でも、技術のテストもしなかったし...」

祖父「分かる人には、お前の髪型を見るだけで技術の高さがわかるさ、わざとらしくなく、こんなにダサく髪型を仕上げるのはかっこよくキメるよりも遥かに難しい事だからな」

祖父「ある意味それは才能と言える 笑。なかなか珍しいが。お前には、俺にも、お前の父にも無い才能がある。大変かもしれないがjoyfulで働いてその才能を磨きなさい」

僕は、技術を使って自分をダサく見せる為に僕の全力を注いで髪を切っていることが祖父にもばれている事を知った。

でも、祖父に僕には父にも祖父にも無い才能があると言われそれがどんな才能なのか知りたいと思った。