「んー、さすがに他人の個人情報は勝手に漏らすわけにはいかないんだよねぇ。」
「やっぱー?」

さなっ!!私語は謹んで!

「名前が分かったらなんとかなるの?」
「『吉良 優』って言うんですけど‥。」

途端に希海の母さんの表情が変わった。

「吉良君?この前もそう尋ねてきた人がいたんだよ。なんでも、妹だって」
「私達は個人情報は漏らさないよ、娘の言うことも信じられないの?」

珍しく希海が怒号を上げている。いつもはこっちが気を使うくらいにおしとやかなのに。

「まあ、いいわ。じゃあ、他言しちゃだめよ?」

‥本当に他人の個人情報を勝手に持ち出しちゃって良いのかな‥とも思いながらも、私達は希海のお母さんが断片的に教えてくれた情報を見た。

《【吉良 優】
17歳。さざなみ高校二年生。‥》

「嘘っ!!」
「‥まさかの同学年」

《‥両親は共に事故で他界。唯一の肉親の妹も行方不明。‥》

「あれ?でもこの前ここに来たって‥」
「なんかあったのかな?」
「‥さあ」

《‥10歳の時に持病が発覚。現在は闘病生活を送っている。‥》

「‥なんか大変そう。」
「うん。」

《‥妹の名前,『吉良 想』‥》

「‥そーちゃん?」
「‥アリア知ってるの?」
「うん。前に骨折して入院したときに会ったの。あれ?でもおかしいな、想ちゃんは私と同い年のはずなのに‥」

《【吉良 想】
優の唯一の妹。現在行方不明。》

情報はこれで全部だった。

「おかしくない?」
「‥おかしい。」

さなと希海もおかしいと思ったみたい。

「病院は?なんか分かるかもしれないよ?」
「そうだね!病院だったら部屋の前に名前が書いてある!!」
「‥早苗、時間」
「‥明日は?明日は学校ないし、3人でいかない?」
「それ良いかも!さんせー」

ということで、明日は朝一で病院にいくことになった。