「夜の校舎って…出るんだって」

仄暗い教室の中でそうブスは言った。
なぜこのブスはそんなことを言いだしたのだろうか?
それは3分前に話は遡る。


放課後、私は友達と呼ぶべきかどうか悩むレベルの知人と一緒に帰り支度をしていた。
そこに一人の女が現れたのだ。
それこそ冒頭で出るだの出ないだのと言っていたブスだ。
なぜ私は彼女をブスと表現するのか。
理由は簡単ブス以外の特徴を知らないからだ。
ブスと私は今日初めて言葉を交わしあった仲なので、外見以外の特徴で彼女を表現する術を持たないのだ。
どうやら友達と呼ぶべきかどうか悩むレベルの知人(以後デブ)がブスと友人であったらしく、その二人が怪談話をするという事の運びとなり、そこに私が巻き込まれたのだ。

デブとブスのコンビネーションにより私の帰宅は見事阻害され、空き教室にてカーテンを開ければ夕日と呼ぶことすら似つかわしくない太陽が爛漫と輝いてる時間に怪談話をするということになったわけだが、急に「さぁ語れ」と言われてもそうそう怪談がポンポン出てくるような生き方をしてきたわけではない。
そこで一番手は言いだしっぺのブスになったのだ。
つまり、ここで冒頭に話は戻るのだ。