お前のこと、落としてやるよ。



多分風で何か倒れたんじゃないかなって、思うけど私を驚かせるには十分だった。



「うわっ……、すげー風。
で、どうした?」



先程の苦しそうで泣きそうな顔ではなくて、暖かくて優しい顔で言うから少し戸惑ってしまう。



空の涙が地面に打ち付ける音で聞こえるか聞こえないくらいの微かな聞こえる声で、こう言った。



「なんでもないよ。」



と。



皐月は、そんな私の様子を特に追究してくる事もなく「そっか」とだけ言ってキッチンの方に行ってしまった。