「……なんだよ、」



お母さんに聞いたのに、違う方から声が聞こえてくる。



……後ろからだ。



上半身から上を回転させ、後ろを振り向くとベッドに座ってこちらを見ている皐月が視界に入り、涙が目にたまる。



「……良かったぁ……」



ポロポロと流れる涙を手の甲で拭きながらそう言うけど、涙はとまってくれない。



ぼやけた視界の中で見えたのは、皐月の優しく笑った顔だった。



「皐月くん、永遠。お医者さん呼びに行ってくるから。二人で話してて」


お母さんは小さく微笑みながら、丸いイスから立ち上がり病室を出て行き二人きりに。