「……行けよ、」 「な……んで」 声が掠れて、震えてうまく出ない。 「後悔してほしくねぇんだよ、お前に。だからさ……」 ポツリ、とそう言いながら紙袋を私に押し付けてくる皐月。 「行けよ、“那月“のとこ。」 「……っ、」 「……行ってこい、永遠」 ほんとうは、誰かにそう言って欲しかったのかも知れない。 「……ごめん、少しだけ行ってくる」 私は、皐月から紙袋を受け取り、玄関でサンダルを履き、皐月の家から飛び出した。