お前のこと、落としてやるよ。



「浴衣……だ」



ポツリとそう溢す皐月の言葉に、かあぁと顔が熱くなっているのが分かる。



張りきり過ぎって思われちゃたよね……、完全に。恥ずかしい。



「新鮮でいいんじゃね、似合ってる」



フッと優しく笑う皐月に、ドキンと胸が高鳴った。



私を落とす為に言ってるんだから、本気にするな、自分。自惚れるな、私。



「んじゃ、そろそろ行くか」



そう言って歩き出す皐月の後ろに慣れない下駄で着いていく。



お互い喋らないから、カランコロンと私の下駄の音が鮮明に聞こえる。