あの日、あの後、夕さんは直ぐにいなくなってしまった。
僕はあの日から彼女に会いたくて、毎日公園に通っている始末だ。
そうして通い続けること二週間、5月が終わる本当に直前、もうネモフィラが一番の見頃はとっくに終わり、
彼女と出会った、一番ネモフィラがきれいに見える場所も半分以上は深緑色に変化してしまった。
花の寿命って本当に短いんだな。
と、物思いにふけっていた時、
彼女は僕の前に現れた。
始めて会ったあの日から、毎日公園へ行ってどれだけ目を酷使しても夕さんはいなくて、
もう一度会えた時、奇跡が起きたのかと思った。
「「あ、」」
声が重なる。それだけで幸せ、分かりやすく言えば、ご飯三杯はいける!みたいな。
「基樹くんだよね?またサボり?」
と、カメラを持って歩きながら、僕に話しかけてきた。
「さあ?」
なんかサボってばっかりって思われるのはカッコ悪い気がしてそう答える。
「じゃあ、夕さんは?何してる人で、ここに何しに来てるんですか?」


