「あ、ここ良いですよね。昔親と来たときに見つけたんです。僕は基樹(もとき)っていいます。基本の基に樹木の方の樹で基樹。」
「へえ、基樹くんか。いいね、素敵な名前だね。」
「あ、」
全く同じこと考えた。この人と。
なんでそれだけでこんなに嬉しくて満たされた気持ちになるんだろう?
僕も同じこと考えてましたって伝えたくなるんだろう?
「ん?どうしたの?」
彼女が首を傾げる。
「いや、僕も夕さんって、いいな、素敵な名前だなって。同じこと考えてました。」
「、、、、、、、ありがと、うれしいな。」
そういって夕さんは少し照れて、ふわっと微笑んだ。
すると、
ぶ、っわあ~っと強い風が下から吹いてきて、ネモフィラの花びらが見頃を終えて少し散り始めていたから、
彼女の背景に青がひらひらと舞い降りる。
魔法やこの世にあるはずのないものを見てしまったような衝撃を受けた。
心臓がドキドキとなっていた。


