【翔side】
「今日も行っちゃったよ、あの子」
放課後になって、
いつもの時間がくると思った俺に
碧は窓の外を指さした。
真っ黒で艶のあるロングヘアに、
いつもしているピンクのイヤホンが特徴的な女子。
後ろ姿しか見たことないけど、
俺が最近気になってる子。
「いつになったらあの子もあっち側になるんだろうね」
今度は廊下にいる、女子の群れを指さす。
「さあ…」
廊下に出ると、さっきよりもでかくなる歓声。
これにはもう慣れた。
放課後になる度に、この学校の女子ほぼ全員がこうして俺のクラスの前にやってくる。
その中から、気になった子を選ぶのが俺の仕事。
表向きは、優等生。
裏では適当に女を弄ぶ。
「今日は誰にしよーかなー?」
なんて迷うふりをしてるだけでも女子たちがキャーキャー騒ぐ。
「んじゃ、今日はキミね」
とりあえず目の前にいた女を適当に指さすと、
「ありがとう」と言いながら小さくはにかんだ。
…悪いけど、あんたにはこれっぽっちも興味はない。
頭の片隅は例のあの子。
あの子だけ、俺になつかない。
まずは、顔と名前。
それから。
