キーンコンカーンコーン。

その時、一時間目の授業が終了したチャイムの音が響いた。

「ありがとう桜花。大分気が楽になったよ」

「私なんかで力になれれば!!」

桜花は淋しそうに笑った。

「じゃあ俺……行くな」

俺は桜花に手を挙げてから扉の方へと歩き出した。

「やっぱり、私じゃ……百合菜先輩の代わりにはなれませんか?」

俺は歩みを止めて桜花の方を振り返る。

「俺は百合菜じゃなきゃダメなんだ。百合菜の代わりなんていないよ。例え叶わない想いでも…」

俺は再び歩き始めた。

「百合菜を好きで良かったって思える気がするんだ…」

俺は桜花の返事を待たずに扉を閉めた。桜花にはきっと、もっといい男が出来るよ……。