今日は翔君、朝早く来ないのかな。私は読み掛けの本を閉じて時計を見る。

昨日 また私は心にもないことを翔君に向かって言ってしまった。ちゃんと昨日のこと謝ろうとしたのにな……。

時計の針の進む音だけが教室に響き渡る。

私は…翔君に会った日のことを思い返した。

あの一年前の雨の日。傘を忘れた私に、傘を貸してくれた翔君。

翔君だって傘一本しかないのに、私に嘘をついてまで貸してくれた。そういう自分を省みない優しさが好きだった。それは今も変わらない……。

私は、翔君が好き。

なのに、何で私はあんなこと言っちゃったんだろう。

ねえ、翔君。私ね、翔君と顔を合わせる日はいつもLilyの香水を付けてるんだよ?

翔君は、気付いてる?

私、あなたが好きです。