From..

「何で百合菜ちゃんが出て来るんだよ…」

俺は必死に冷静装いながら答えた。

「だって翔さん。百合菜のこと好きじゃないですか？」

その言葉を聞いた瞬間に俺は隣に座っていた渡に蹴りをお見舞いした。

「いってぇ！何だよ翔！俺が何かしたかよ？」

「美紀にばらしたろ！俺が百合菜ちゃんが好きだっていうこと！！」

「ばらしてねーよ！！」

目に涙を浮かべながら渡は必死に弁明する。だけど俺が百合菜ちゃんを好きだと知ってるのは雅也と渡だけだ。

「翔さんの様子見てれば誰でもわかりますよ」

美紀はあざだらけの渡を気遣いながら続ける。

「翔さん分かりやす過ぎです。そして鈍感です」

「ど…鈍感ってどーいうことだよっ！」

紫音にも言われた言葉。何が鈍感なんだか…。

「……そういう所ですよ」

美紀の言葉に首を捻る俺だった。