「何だよ雅也?」

俺らは皆から少し離れた場所に移動した。

「何か俺に言いたいことがあるんじゃないのか?翔?」

ニヤニヤした顔で雅也は俺に尋ねる。こいつには全てお見通しのようだ。

「な……何で雅也は百合菜ちゃんのことを呼び捨てで呼んでるんだ?」

「お前だって静香や美紀ちゃん名前で呼び捨てにしてんだろ?何で百合菜は百合菜って呼ばないんだよ?」

「何か照れ臭いっていうか……」

俺は口を濁した。

「そんなんじゃいつまでたっても前に進まないぞ」

そう言うと雅也は、深いため息を残し皆の元へと帰っていった。

分かってる。分かっているけど、先に進むのが恐いんだ。

今のままでいい……。
この関係から抜け出したくないって思っている自分がいたんだ。