「で、百合菜ちゃん。翔と一体何の話してたんだよ?

「えと……その……」

困っている百合菜ちゃん。きっと、皆に話していいのか悩んでいるんだろう。

「俺達の友達なら大丈夫だよ。それは、百合菜ちゃんも分かるでしょ?」

俺が小声で百合菜ちゃんに耳打ちすると百合菜ちゃんは頷いた。どうやら、話す決意が決まったみたいだな。

「あのね、私の家の犬が一ヶ月前から迷子なの……」

「一ヶ月!?」

みんなの声が揃った。

「何で百合菜ちゃんは皆に相談しなかったんだよ?」

渡が当然の疑問を口にする。

「自分の家の問題だから……って考えてたから。皆を巻き込むのも迷惑かなって思って……」

百合菜ちゃんは申し訳なそうに答えた。

「迷惑じゃないよ」

俺は言った。

「俺達友達だろ。困ったときはお互い様でしょ。今度の休みに皆で探そうよ。」

「……みんないいの?」

「当然!!」

またもや声が揃った。

「ありがとう。」

百合菜ちゃんはそういって微笑んだ。

このことが…俺と百合菜ちゃんの錆び付いた歯車に油を射す出来事になればいい。俺はそう思っていた。

というか…『らぶ』ってのはラブレターじゃなかったんだ……。

あのラブレター……一体誰が書いたんだろう?