「嘘だぁ!」

朝起こったことを全て話した後の二人の第一声がそれだった。

「ホントなんだってば」

「そんな優しい人いるわけないじゃん!」

「この学校の先輩なんだよっ!若葉 翔先輩っていう人で…」

「翔がどうしたって?」

「え?」

後ろの席にいた佐久良高生に突然話し掛けられた。

「……もしかして椎名先輩と蓮池先輩ですか?」

玲菜の声は少し震えている。

「どこかで会ったことあったっけ……?」

椎名先輩が額を寄せる。

「昨日の始業式で少し…覗いてたんです。かっこいいなぁ…って思って」

「覗いたって…玲菜…あんた、そんなことしてたの?」

「桜花も共犯だよ?」

その言葉に葵が呆れたように私達二人を見る。

「ちょっ……覗いてたのは玲菜でしょ?」

「まぁ…そんなことより翔がどうしたんだよ?」

蓮池先輩が身を乗り出して私達に聞いてくる。

そこで私は朝の出来事を先輩達にも話した。