私達は体育館についた。……正確には体育館前に着いたのだった。

ガララ…。
玲菜はほんの少し隙間を開けて、それからは目をせわしなく動かしてカッコイイ先輩を探し始めた。

「ちょっと玲菜!玲菜ばっかり見てないで私にも見せてよ」

「うるさい!今いいところなんだから!」

「…もう!」

私…来なくても良かったんじゃないのかな?

私がそう思い始めた時、体育館から綺麗な声が流れて来た。

「……綺麗な人」

玲菜も思わず呟いた。
私は玲菜より少しばかり背が高かった為、ほんのちょっとだが声の主を確認できた。

……朝見た先輩だ!

「玲菜…あの先輩…」

「桜花知ってるの?何か転校生らしいよ?藤堂
美紀先輩っていうらしいよ!」

さすがに覗いていたことはある。始業式の進行を把握できている。

把握できていない私は、ただ始業式が終わってチョコレートデラックスパフェを食べることだけを考えていた。