俺はその話を百合菜にもしてみた。

「ふーん。令志君も分かって来たみたいだね」

「ちょっとずつだけど」

「その、ちょっとずつが偉大な一歩なんだよ」

「なるほどな…」

「じゃあ…私達の関係も終わりにする?」

「まだまだ!!まだ完全には分かってないから」

「私はいつまでも付き合うよ」

「偽りの俺と……?」

「あはは。じゃあ私も偽りの百合菜だね」

そんな他愛のない会話をしたのは……五月の終わりのことだった。

もうすぐ体育祭。偽りの関係を結んでいる二人は本当の恋人のように帰って行った。

吹き抜ける五月の風はどこか優しい感じがした。

Story 2 End。

6章に続く。