次の日学校に行った俺を待ち受けていたのは意外なものだった。

「その……如月…。昨日はごめん」

何と被害者の若葉が俺に謝りに来たのだ。

「何でお前が謝りにきたんだよ?」

「いや…百合…じゃなくて浅香さんに彼氏がいるの知らなくてさ…『百合菜』って大きな声で叫んじゃって…」

「……それだけ?」

「それだけ」

「お前…変な奴だな」

俺はそう思いながらも…面白い奴と思った。

俺は右手を差し出す。その仕種に若葉は思わず身構える。

「なーに勘違いしてんだよ。仲直りの握手だよ」

俺がそういうと若葉は微かに笑って俺の右手を握った。

「…お前、見かけによらず良い奴だな。俺、若葉 翔。翔でいいぜ」

「俺は如月 令志。令志で結構」

そう言うと俺達は声を揃えて笑った。

そしてこの日からだった…。ホントの優しさの意味が分かるのは……。