「百合菜。戻るぞ?きっとクラスの皆も心配してるから」

俺はそう言って百合菜に右手を差し出す。

「そうだね……。令志君ありがとう」

百合菜は俺の右手に引っ張られて立ち上がる。

「大丈夫か?」

「うん。今度はこっちが翔君に心配かけさせるんだから!」

俺はそう意気込む百合菜を見て思わず苦笑いを浮かべた。

「何か困ったことがあったら俺に言えよ?偽りの関係とはいえ彼氏なんだから」

「じゃあさ……力貸してくれるかな?」

百合菜は俺に耳打ちをして自分の教室へと帰って行った。