「あの…!」

俺らは思わず顔を見合わせる。二人の声が綺麗に重なってしまったのだ。

気まずい空気が漂う。

「翔君からどうぞ」

「いや……百合菜ちゃんからでいいよ」

俺達はそれから譲り合いをしていたが、結局百合菜ちゃんが先に言うことに話がまとまった。

「目……閉じて?」

百合菜ちゃんが俺に甘く問いかけてくる。

俺は言われるがまま目をつむった。心の中ではやましい妄想が膨らむ。

百合菜ちゃんの顔が近づいてくる感じがする。

しかし…。唇に触れる感触は来なかった。

代わりに…首に何か掛かっている感じがする。

「目……開けていいよ」

俺はゆっくりと目を開けて違和感のあった首を確認した。

そこには四つ葉のクローバーのネックレスがかかっていた。

「メリークリスマス!翔君!」

俺はとても嬉しかった。
嬉しい以外に今の状況を伝える言葉がない。

「百合菜ちゃん…本当にありがとう」

「いーえ。じゃあ次は翔くんの番だよ。さっき何て言おうとしてたの?」

俺は…百合菜ちゃんの目を見た。百合菜ちゃんの目に俺が映っているのが分かる。

心が落ち着いていた。