「ちょっとお母さん!彼氏って……?」

百合菜ちゃんが慌てた様子で玄関に出て来る。

そして俺と目があった。

「え…翔君…?」

「百合菜ちゃん。今少し時間取れる?」

百合菜ちゃんはお母さんに目で尋ねる。

お母さんは頷く。

「大丈夫だよ。今上着持って来るから少し待ってて……!」

百合菜ちゃんはお母さんと一緒に家の中に入っていった。

今更ながら俺は緊張していた。

心臓がなかなか鳴き止んではくれなかった。

ガチャ。扉が開いて出て来たのは さっきと何一つ変わらない百合菜ちゃん。

「あれ上着は…?」

「あっ…やっぱいいかなって思って」

百合菜ちゃんは少し動揺しているように思えたが気のせいだろうか?

「じゃあ……ここじゃなんだし公園にでも行ってから話そうか」

百合菜ちゃんはコクリと頷いて俺のすぐ隣を歩いてくれた。

公園にいく途中に俺らに会話はなかった。