病院に着くさま紫音の病室へと駆け込んだ。

「紫音は……!」

「さっき発作を起こしてね。何とか収まったけど…。もう…次に目を開けたら…それが最後のお別れの時間になるわ」

早苗さんの目は悲しみの色に染まっていた。

「みんな…紫音が次に目を覚ました時に…言う言葉を考えとくのじゃ…」

俺達が病室に入る前から紫音に付いていたおじいちゃんの言葉に、俺らは嫌々頷いた。

最期だなんて認めたくなかった。

程なくして紫音の両親も駆け付けて来た。

「紫音……」

皆、言葉を発しない。
紫音に贈る言葉を考えているのだろうか…?

その時、眠っていた紫音が目を覚ました。

次に目を閉じたら紫音は……。

「ごめんね皆。私もうダメみたい……」

紫音が力無く微笑む。

「……紫音さんっ!」

桜花が叫ぶように言う。

「私っ…!出会ってから……紫音さんに憧れてたんです!自分が病気なのに……それを受け止めて…皆の前では気丈に振る舞っている…!私…そんな強い女になりたかった!紫音さんっ…だから…」

「…桜花。強い女…になる為のアド…バイス教えてあげ…るから…耳貸してよ…」

そういうと紫音は桜花に耳元で何かを告げる。

それを聞くと桜花は、目から大粒の涙を流した

「ありがとう…ございますっ…!」

「桜花なら…強く…なれるよ…?」

「紫音さんっ…死んじゃ嫌だよっ…!いつまでも一緒にいてよっ…。わあぁぁん!!」

感情が抑え切れなくなったのだろう。桜花が泣きながら紫音に抱き着く。

「お…うか?そんなに…泣いちゃ…可愛い顔が…台なしだよ…?」

「だ…だって…」

「…ちょっと…遠くに行くだけ…だから…。ね?そんなに…泣かないで」

「…紫音さん…」

「…いい…女になりな」

「…はい……」