B組の出し物は話し合いの結果喫茶店になった。

ありきたりな奴が実行委員だと、ありきたりな企画になるのだと初めて実感した。

まあ喫茶店なので準備に掛かる時間は少ない。
机や椅子、内装等を整えてしまえばいいだけだからだ。

しかし俺は実行委員で、忙しく学校中を駆け回っていたので、あまり喫茶店の準備を手伝えていない。

「翔さん少し休んだ方がいいんじゃないですか?顔色も悪いですよ」

美紀は心配してくれる。たぶんこのクラスで俺の心配をしてくれるのは美紀と百合菜ちゃんくらいだろう。

「だ、大丈夫大丈夫……」

文化祭まで後一週間。
今が一番忙しい時期なんだから、ここで倒れたら他のクラスの実行委員に申し訳ない。

「クラスの準備こそ順調に進んでる?」

「衣装作りが少し遅れているんですよね…」

美紀は顔を俯かせた。

「それなら俺も手伝おうか?家庭科なら得意だしさ」

「でも翔さん忙しいじゃないですか……!そんなこと頼めませんよ!」

美紀は大袈裟に手を振って断る。

「大丈夫だよ?クラスの企画が中途半端になるのも嫌だろ?」

俺の言葉に美紀は渋々頷いた。その日、俺は徹夜をして美紀から言われたノルマ分の衣装を作った。