砂浜一帯に美味しそうな香りが漂う。今日の晩御飯はバーベキューなのだ。

みんなと仲良く話ながら食べるバーベキュー。これぞ青春の味かな?

紫音も皆と上手く打ち解けることが出来て良かった。

しかしその時、俺は右手に持ってた串を誰かにかすめとられた。

「誰だよ…!せっかく俺が焼いたのに…」

「えへへ…もーらい!」

そう言って俺から取った串を食べる百合菜ちゃん。その笑顔反則です。

「楽しそうじゃの?」

ふと横を見るとおじいちゃんが立っていた。

「俺は楽しんでいます。おじいちゃんはどうですか?」

「こんな楽しいことは久しぶりじゃ……。もう来年は同じメンバーで来る事はないからのぉ…」

その言葉に俺は思わず目を伏せてしまった。百合菜ちゃんも何かを悟ったのか、悲しそうに俯いてしまった。

「翔悲しんではいかん。辛いとは思うが決して表情に出してはいかん」

おじいちゃんの言葉を深く深く噛み締める。

このメンバーでやる最後のバーベキュー。

それは青春の味もしたが少ししょっぱい味もした。

この後俺らは写真を撮った。この写真は今の俺の掛け替えのない宝物になっている。