翔がクラスの仲間に呼ばれた為に、俺は久しぶりに再会した紫音と二人きりになった。

「雅也……私恐いよ」

そう言って俺に体を預けて来る紫音。

「お前も相変わらず不器用な女だな……。何で翔に言わない?」

「このままでいい…」

紫音が消え入るような声で言った。

「私は…『幼なじみ』っていう関係でいいよ」

俺はそう言う紫音の涙をハンカチで拭いてやる。

「紫音…」

「ねぇ雅也。あのことちゃんと内緒にしててよ?翔に迷惑かけたくない」

紫音の目は固い決意を表していた。

「お前がそう言うなら……俺はそれに従うまでだ」

俺らはそれから一言も言葉を交わさなかった。

紫音……。お前は昔からそういうところだけは変わらないんだよな……。