二人の間に沈黙が続く。



それを破ったのは、山瀬先生だった。



『ゆうか、昔のこと聞いた?』



『うん。驚いたよ。』



『先生、本気なんだ。と言っても、元々は父がよく、俺の診てるゆうかちゃん可愛いんだって言っててさ、どれ程のものかと期待してたんだけど、期待外れだったね。』



ここでも毒舌なのは性格なのだろうか。



『ひどい!』



『だって全然言うこと聞かないし、反抗期の子供みたいで幼児を相手してる気分だった。』



それは何も言えない。



『でもそれが可愛いくてねー。』



そういいながら、ほっぺをキュッとつねってくる。


『やめて、顔の形変わったらどうするの。』



『いいよ、もう俺のものだし。』



不意に顔が赤くなる。



『なにさ、まだプロポーズされてない。』



『ここでは、プロポーズする気は無いよ。もっと素敵な場所にしよう。』



記念の場所を病院でないところにしてくれるらしい。


さらに顔が赤くなる。



『ゆうか、頑張って治そうね。退院したら一緒に暮らそう。』



さらにどうようする。



『く、く、く、くらすの?』



それを見て爆笑している。



『結婚するんでしょ?暮らすよ。』



『でも籍入れなきゃだめだよ。』



『籍入れなきゃ一緒に暮らせないの?』



形式は無視する気だ。



それでも内心はお花畑だ。



今にも飛び上がって山瀬先生に抱きつきたい。



『ううん。それなら私も嬉しい。』



そうしてしばらくの間二人で手を握り合っていた。