『今日は勉強を許可します。』


そうきたら勉強したいところだけど、勉強道具が何もない。


『先生、勉強道具が何もないの。どうしたらいい?』


お母さんはどこにいるかわからないし。


きっと遠くにいる。


迷惑をかけたくない。


『marazon でも使えば?』


『なるほど。先生が受け取ってくれる?』


だめ元でお願いしてみる。


『そんなの面倒だよ、院内のコンビニで受け取れば?』


『確かABCストアは受け取れないの。』


『近くのミルクマートは?』


『でも、院外じゃん。』


山瀬先生が院外に出ることを許すはずがない。


『いつもお昼買いに行くから一緒にいく?』


『いいの!?』


『うん。そんな驚くこと?』


『デートじゃん。』


つい興奮してしまう。


『コンビニに行くのがデート?』


『ゆうかちゃん、やっぱり山瀬先生のこと好きなの?』


静かに聞いていた宮本さんが言う。


改めて言われると恥ずかしくなる。


『はい。優しいときだけは好きです。』


『それは怖いときが好きな人はいないわよね。』


山瀬先生をちらっと見ながら言う。


『怖くしてるつもりはないですけどね。ゆうかが、やましい事してるから怖く感じるんじゃないの?』


はたまた痛いところを突かれる。


これ以上言うと一緒に行ってくれない可能性がある。


大人しくしよう。


『はい。私が悪かったです。コンビニへの同行よろしくお願いします。』


『よろしい。』


そう言うと満足気な表情で帰っていった。