この数日であの発作を何度も繰り返したとしたら、体力が落ちて食欲減衰と体重の低下も納得がいく。


何が原因かはわからないが、やめてと言ったのが気になる。痛みに耐えてでも拒む理由があるか。



また迷惑をかけるからとか。



『山瀬先生!』



大きな声で呼ぶ広瀬に驚いた。


『広瀬うるさい、聞こえるし。』



『さっきから呼んでるのに全然気づいてないからです』


『本当に?聞こえなかった。』


『糸口は見えましたか?』


『いや、わからない。迷惑かけるからとかは違う気がする。無理してるのは間違いないが、一人で耐えてるだけ。』


『自暴自棄になってる可能性もありますね。治療したくないというより、諦めの感じもあるかもしれないですね。』



『諦め?何を諦めるの?』


『もうよくならないとか、生きる希望を失う患者さん結構います。』


『あーでも、そんな危機的ではないでしょ?』



『そんなこと関係ないんですよ、手術の侵襲でより体調を崩す人がいるように。』



『俺がそばにいるのに?』



『山瀬先生はどれだけゆうかちゃんを見れてる自信があるんですか?言いたくないこともたくさんあるし、もっとしっかりしなきゃって思うんですよ。』


『うん、わかってるけど、心を開いた人なら話せないかな。』


『最近、ゆうかちゃんのご両親みえてないですね。』


『確かに、なんでだろう?』


『聞いた話ですけど、海外勤務で小さい頃はベビーシッターを雇ってたけど、うまくいかなかったみたいで、寂しい思いしてるんじゃないですかね。』


『そうなの。初めて聞いたよ。人間不審な部分もあるかもしれないね。全然そんなこと言わなかったよ。』


『それを本人から聞けたらいいんですけどね。僕も慎重に話したいと思います。』


『お願いね。』