感情を抑える代わりに、治ったはずの目眩が再び始まる。


必死で身体を起こす。


早くこの場から逃げたい。


無意識に胸を手でおさえる。


脈が飛んで、拍動が辛い。


それが痛みに変わっていく。


激痛に変わっていく。


『うっ........く......っ....』


山瀬先生は冷静に見ている。


『ゆうか ......『もう!.......いいから.......わた...し
もうやめて....うっ.......』


先生の言葉を遮り絞り出すように言った。


胸をありったけの力で掴む。


心臓がはちきれそうになる。


汗が流れる。


痛みに耐えきれずベッドに倒れこむ。


丸まってひたすら痛みに耐える。


『うぅ.....』


声が抑えられない。


山瀬先生はひたすら背中をさすってくれる。


胸や首についた傷がどうしてできたのかは、言わずともわかったのだろう。


『ゆうか、手離そう。力抜いて。』


できない。


痛みに耐えるにはこうしていないと、耐えられない。


『うぅぅ.....うぅ......い....たっ....い』


治る気配がない。


呼吸が浅く、速くなる。