優しく声をかけても、何か話す気配はないし。



『山瀬先生。』



ふたつ後輩の小池医師だ。



『どうしたの?』



『高島さん、先生ご不在の夜、廊下で会ったんですけど、なんか様子が変でした。』


『どう変だったの?』


『なんかバリバリ隠してる感じでしたけど。早朝に見にいきましたけど、その後は寝てました。その時は少し頻脈がありましたね。』



寝てるのに頻脈か。



『心電図とったんですよね?どうでした?』



『何もなかった。本人も何もないって言うんだよね。』


やっぱり隠してるな。



構ってやれなかったからか。



そんなことでどうこうするとは思えない。



あれだけいい聞かせてきたんだ。



流石に隠さないかと思ったが甘かったか。



そこに広瀬先生が現れる。


『山瀬先生、ゆうかちゃんどうです?』


『山瀬のせいだからな、こじらせたからだ。何も話してくれない。』


『やっぱり僕ですか?強く言ったつもりはなかったんです。明日、カウンセリングいきますね。』



『いや冗談だよ、でもよろしくね。』



『わかりました。』