「……………君達見たところ新入生だな?…………入学早々迷子とは何を止っている…はぁ…………一先ず、付いてきなさい。教室を案内してやろう。何組だ?」
彼の口から言葉が紡がれるところを久々に見た。
夢の中の彼は、いつも喋らないから、
具現化された彼が目の前にいること自体
奇跡だった。
「……先生ですか??良かったー!!!俺ら迷子だったんですよー!!」
「見れば分かる」
「教室まで案内お願いしまーーす!因みに、五組です!!」
「なに、五組か。俺のクラスだな。……………全く、どうやら問題児のクラスを持ってしまったようだ……。」
祐と彼が話す姿を尻目に、私は一人、泣きそうになっていた
「良かった…………………、ちゃんといた。」
思わず声も涙声になる
「なんだよーー、梨沙、泣くほど嬉しかったのか!!」
祐が相変わらず馬鹿みたいなことを言っていても、突っ込む気すら起きない
だって、彼にあったのは私の記憶通りなら、
十年も前のこと。
