クラスに行くと言っても、この建物が何階建てだとか教室が幾つあるのかとか、全く知らない訳で………

「早速迷子…。」

「なんでだよーー…!!梨沙、てっきり教室知ってると思ったのによーー!!昨日の時のこと覚えてねーの??」

「馬鹿ね、祐。私が教室の場所なんか覚えると思うの?答えはNOね。」

「だよなーーー!お前、ただでさえ方向音痴なのに、昨日ちょっと入っただけの教室なんて覚えてねーよなーー……、あーあ。どーしよーー!!初日のホームルームから遅刻しちまうぜーー??こんなことなら俺も昨日風邪なんか引かないでしっかり出席しとけば良かったーーーー!!ましてや、俺なんてここがどこだかも知らねーよ!!」

そう叫んだ祐の隣で、私はただただ頭を抱えるだけだった。
ここは、恐らく…………体育館であろう。恐らく…!
そのくらいは見れば分かると思うが…、祐なら仕方ないだろう。

さて、ここからどうしようか………。

教室に行かなければ、朝のホームルームが始まるまであと十分もない。


「祐、ここは恐らく体育館だと思うわ。体育館を出て右に曲がれば校舎に繋がる…………、と思うわ。自信ないけど………。」

私が申しわけない気持ちで俯きながら言うと、祐はよく見せる困った笑顔で笑った。


「大丈夫だってーー!梨沙!!俺に任せろ!!そうだな!そういえばこれ体育館かも!なんかバスケのゴールっぽいのあるし!!よーし!そこから右だな!!………………」

突然黙る祐を見ると、どこか一点を見つめていた。



「……………君達、ここで何をしているんだい?」


それは、恐らくここの教師だと思われる人物だった。