「千夏ちゃん、ちょっと耳かして」 よくわからないけど、大きな声では話せない大切な話みたいで、 大嶋くんの表情は真剣だった。 「俺のクラスにいる、松田って知ってるよな?」 知ってる………。 ちょっと苦手な女の子だ。 学年の女子のトップみたいな子で、 見た目はすごく可愛いんだけど、容赦ない性格っていうか……。 「そいつ、前から昴が好きだったんだ。 最近見張ってたんだけど、動き出すかもしれねぇから気をつけて」 大嶋くんはそれだけ言って、昴くんに向かって手招きした。