きっと恋じゃない



「いくら兄って言っても

 血は繋がってないんでしょ?

 なら、手ぇ出しても問題ないわけよね?」


それ、どこかで聞いたセリフだよーって

心の中で美月に突っ込みながら、

ふと目に入ったのは、まだ空っぽの隣の席。


だんだん教室にも人が増えてきて

にぎやかになってきているけど・・・


「そこ、もう一人の二ノ宮さんの席でしょ

 ってことは、由奈の義理の弟?」


私の視線に気づいた美月が尋ねる。


「うん・・・、まだ来てないけど。」


もうすぐ8時半になる。

広人・・・大丈夫かなあ。