「陽夏、おはよ!」
「わっ?!ってなんだ海月か」
「なんだって、なんなんだ!」
わたしは、咲坂中学2年の悠木 陽夏(ゆうきひな)。
そして、今私に声をかけてきたのが小出 海月(こいでみづき)。
わたしたちは、親が高校時代の友達どうしで、どおせ子供を産むなら誕生日を近くしようとなり見事に誕生日は3日違いだ。しかも家まで隣という仕組まれた幼馴染である。だからと言って仲が悪いわけではなく、むしろ仲がいい。
4歳のときに海月のお母さんが海月一人じゃ不安だからといってわたしも一緒にピアノを習いはじめた。わたしたちは、みるみるうちに成長していってコンクールを二人で独占するようになっていた。
わたしは、2、3回弾けばできるが感情が出てしまうコンクールには優勝しにくいタイプと言われた。
反対に海月はコツコツ努力をして楽譜に忠実なコンクールに優勝しやすいタイプである。
わたしより、遥かに多い優勝回数。いつもその一歩後ろにいるわたし。
そんな海月がわたしの憧れなんだ。

