あ、あっかんべー花だ!
 ……何それ。
 え? きらりん知らないの?
 知らねえよ、っていうかきらりん呼ぶのやめろ。光(こう)だっつの。
 へえ、知らないんだあ。きらりん物知りのくせに知らないんだぁ。
 知らねえっての。それよりもそれあっかんべー花なんて名前じゃないだろ、もっとちゃんとした名前がついてるはずだろ。
 ちゃんとした名前だもん、あっかんべー花はちゃんとした名前だもん!
 あのなあ、名前ってのは由来ってもんがあるんだ。この花のどこがあっかんべーなんだよ。
 ふふふ、きらりんもしや知らないね? 
 ……何をだよ。
 このお花上と下で真ん中を折るようにすると……ほら、黄色い舌があっかんべーしたあ!!
 確かにそういわれればそう見えるけど、それただおしべとめしべが出てきてたまたまそうなるだけだろ。
 たまたまじゃないもん、何度やってもこうなるんだもん。もうこれはあっかんべー花だよ!
 ……あっかんべー花、ねえ。
 

   これはひと夏のくだらないちょっとした二人のお話。