考えながらトボトボ歩いていると、いつのまにか交差点に来ていた。
「わっ……」
赤信号に気づき、慌てて立ち止まる。
危うく赤信号に渡ってしまうところだった。
「ダメダメ!私がしっかりしないと……」
自分にそう言い聞かせ、顔をあげる。
すると、向かいの交差点に見覚えのある人物が立っていた。
その人物をみて、私は大きく手を振る。
「あ!陸人!」
相馬陸人(そうまりくと)。
陸人も私と爽ちゃんの幼馴染み。
高校は別々なんだけどね。
陸人はキリッとした切れ長の瞳を私に向ける。
青信号に変わり、陸人に駆け寄ると開口一番こう言った。
「あいつのところに行ってたのか?」
高校がちがうとなかなか会う機会もない。
冷血漢な陸人は挨拶よりも、用件を先に話す癖がある。

