「どした?まな?」

「そう兄がせっかく出てきてくれて嬉しかったのに!もう戻らないよね?引きこもりじゃなくて、明日から学校行ってくれるよね?」

「……そ、それとこれとは話が別だ」

ダメだ。
スキル発動してるときに妹の瞳をみると、俺は自分自身に嘘をついてしまいそうになる。

「そう兄!!」

やめろ、妹。
それ以上俺のスキルを揺さぶるな!!

俺はイスから立ち上がると、2階に上がろうとした。

それを引き留める愛梨の手。

「爽ちゃん、また部屋に戻るの?」

俺の腕をつかむ手が強くなる。

「……戻るよ。俺は学校に行かないし、家からも出ない。」

「ねえ、なんで学校に来たくないの?」

そんな分かりきったこと、何回も何回も聞くお前がうざかった。